賃貸経営による税務対策

賃貸経営者に必須の賢い相続税対策についてご説明いたします。 

①相続税対策に有利な財産について

  相続税評価額を下げるのに一番利用しやすいのは不動産ですが、すぐに換価出来ない難点があります。

 納税資金を準備するには金融資産(預金・上場株式・生命保険など)を保有するのがベストです。

②不動産の相続税評価額を下げるには

①特定居住用宅地等
240㎡まで相続税評価額の80%減額

②特定事業用宅地・特定同族会社事業用宅地等
400㎡まで相続税評価額の80%減額

③貸付事業用宅地等
200㎡まで相続税評価額の50%減額

④貸家建付地
更地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

 賃貸用アパートマンションを建てれば、上記のように土地の評価が下がる建物評価も貸家なら借家権を考慮し固定資産税評価額(新築では建築費の50%から70%が目安)の60%から70%になる。

 但し、安易な相続税対策目的の賃貸経営(アパマン建設)は避けるべき。

 所有する土地が賃貸経営に適するか、どのような利用方法なら収益性があがるのか、買換えを考えるべきか等を、信頼できる専門家に相談する。

 広告宣伝やセールストークを鵜呑みにしないことが重要です。

3、納税資金の準備

 財産について相続税額を概算し、相続税がかかりそうなら、納税資金を準備する。

金融資産として、預貯金以外に、終身型生命保険に加入する。
(留意点)
*終身型保険なら何時死んでも死亡保障があるから相続対策に活用できる。終身払い型終身保険なら月々の保険料が安くなる。

*相続人一人当たり500万円の非課税限度額を有効活用する。

*死亡保険金受取人が被保険者なら、死亡保険金は民法上も税法上も相続財産だが、死亡保険金受取人が相続人の一人に特定して指定されていれば民法上の相続財産ではない(税法上の相続財産)。遺留分対策にもなる。

*年間110万円の贈与税の非課税枠を利用し現金を110万円ずつ毎年子供に贈与し、子が契約者兼受取人、親を被保険者とする生命保険に加入する。子に支払われる死亡保険金は一時所得として所得税が課税されるが、相続税対策になる。

なお金融類似商品に該当する保険(一時払い養老保険など)は20%の源泉分離課税であること注意。
㊟金融資産の割合が多いと、遺産分割しやすく、自宅や事業用資産を換金しなくて済み、相続対策にもなる。

(例)夫が子のいない妻に自宅とアパートを遺してやりたいが、前妻との子が遺留分を主張する場合にそなえ、全財産を妻に相続させるという遺言をするとともに、妻を受取人とする遺留分相当額の死亡保険金が受け取れる生命保険に加入する。

前払定期借地権⇒事業用借地契約を締結し、契約金を一括前払いとする。

相続開始前から事業用不動産として活用する⇒金融機関から税金支払いのため借入もしやすくなる。

納税資金が不足の時は、不動産などの資産を売却処分か物納する。
⇒物納か売却か、どちらが有利かよく検討する必要あり。

 相続税評価額と時価とに差がある場合あり。譲渡税も考慮。

故人の預金口座について

 預金口座は、金融機関が口座名義人の死亡事実を知ると凍結される。

 したがって、現在の銀行実務では故人の預金から納税資金を払う予定の時、有効な遺言(または死因贈与契約書)はないと、法定相続人全員の協力がないと引き出せない。

 但し、預金先の金融機関に訴訟を起こせば法定相続分にしたがって払い戻してくれる。
⇒銀行実務は裁判所と違う取り扱い。

 生前に別口座に預り金の形で写すことも考えられる。

 

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